産まれた子供は、障がいを持っていました。

「お子さんに奇形が見られます。」わが子が産まれて、先生から始めて言われた言葉に頭は真っ白になりました。

極限状態で緊急入院。

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先天性心臓疾患を告げられ、嫁のメンタルはかなりガタガタだった。

 

子供が生まれたとき、嫁はかなり強かったイメージがあったのだが、その時は命に別状は無かったからということが大きかったからだろう。

 

そこにきて、命に関わる問題が浮上してきた。

さすがの嫁でもすぐに受け入れることはできない。

 

また、娘の左手のことがおそらくきっかけになったのであろうが、嫁は一時的な「マタニティー・ブルー」になっていた。

自分がどうありたいかの意思に反し、涙はこぼれ、ひょんなことでマイナス思考に。

 

そんな状態で告げられた言葉に、うまく対応できていなかった。

 

そんな中、僕は先生に問いかける。

 

「呼吸数が1分間に100回近くあります」

 

そう話すと、先生は少し困った顔をして娘を診た。

 

軽く触診して一言。

 

「この症状で、それだけの呼吸数にはなりません。」

 

「他に、何かの要因があるか直ぐに調べた方がいいですね。」

 

・・・まだ何かあるのか。

先天性四肢欠損と、先天性心臓疾患を2つも抱えた小さな身体に、まだ何かあるのか。

もう恐怖しかなかった。

 

それでも、娘の命が関わっているんです。

調べないわけには行きません。

 

娘はすぐさま、小児棟に連れられ、僕たちもその後ろを付いていく。

 

検査は、1日では終わらないらしく、3日ほど 病院に泊まることに。

 

そして、病院から言われたのが

 

「病院に泊まれるのはお連れ様一人だけです」

「母乳が出る、奥様のみになります。」

 

こんな状態の嫁だけを泊まらせる訳にはいかない。

僕は必死に一緒に泊まれるようにお願いした。

 

「お気持ちは分かりますが、規則ですので・・・」

 

看護師さんは悪くないのだが、不安そうな顔をしている嫁を見て、何で病院は分かってくれないのか。
不安からイライラしていた。

 

散々ごねた後、病院の規則に従い、嫁の着替えを取りに家に戻った。

少しだけ時間の融通を聞いてもらった。

 

そして、病院に戻り、帝王切開で切ったお腹をさする嫁に別れを告げて病院を出た。

 

そして翌日、娘の検査が始まる。

 

足には24時間呼吸数を測る装置を付けられ、被爆の可能性があるため新生児には通常行わない脳のMRIも撮った。

そして、血液検査では何度も注射を打った。

 

その都度、娘は大泣きしていた。

嫁は、遠くで聞こえる娘の泣き声を聞いて、泣いていた。

 

しかし、僕たち両親は、娘が検査で手元から離れるたびにホッとしていた。

親として失格なのかもしれないが、もう何もかもが不安だった。

 

寝ている娘を見て、息をしているのか。

自分が寝ている間に死んでいるんじゃないか。

泣いていれば、どこかが痛いのではないか。

 

24時間、娘の行動全てが不安だったのだ。

 

そんな中、検査であっても安心して任せられるお医者様に預けるというのは、唯一の安心できる時間でもあった。

 

そんな状態にも関わらず、僕は嫁を残して、家に帰る。

 

そして、ダブルベッドで一人横たわって色々と考えた。

 

これまでのこと。

そして、これからのこと。

 

答えのないことをグルグル考えていると、夜遅くに嫁からの着信。

 

嫁が言った言葉で、僕は胸は痛くなった。

 

「帰りたい。おうちに帰りたいよ・・・」

 

そう言った嫁の声は小さく、震えていた。

 

 次の記事では、また新しい問題が出てきた話。

これは現実なのか?夢なのか?もう意味がわからなかった。

 

 振り返ってみて

産まれたばかりの嫁とは打って変わって、嫁のメンタルはズタボロでした。

 

そんな嫁を見ながら、一人しか泊まれないという現実を受け、僕は出産時に脊髄注射で扉の外に出された時と同じような無力感を感じていた。

 

いやーホント辛かった!ハッハー!

 

と今では夫婦で笑いとばせる話にはなっているが、その地獄のような時を二人で乗り越えたからこそ、今の夫婦の絆があるのだと思う。

 

 

先に娘の経過として書いてしまうが、今、娘は1歳1ヶ月を迎えたのだが、3つあった心臓の穴は2つ塞がり、残り一個は少しずつではあるが小さくなってきている。

そして、問題の弁奇形なのだが、こちらについては直ぐに人工弁の手術が必要、という訳ではなく、今のところ成長曲線もど真ん中なので経過観察となっている。

しかし、相変わらず血液の逆流は変わっておらず、経過観察として数ヶ月に一回、心臓のエコー検査を行っている。